もうドキドキするバレンタインから遠ざかって久しい。それでも若い頃は、ドキドキとするバレンタインを迎えたことが何度かある。

一番思い出に残っているもの、忘れられないものと言えば、もう25年も前のバレンタインだろうか。中学校卒業間近に好きになった男の子にチョコを渡した時のこと。

その時はすでに中学を卒業して、別々の高校に行っていたので、渡すすべを持っていなかった。でも、男友達を通じて、彼に連絡を取ってもらい、チョコを渡したのだ。今思えば、協力してくれた友達にも感謝しなきゃいけないよね。久しぶりの再会にも関わらず彼は来てくれて、無事に渡すことができたのだけど、思い返しても優しい人だと思う。あまり大それた事はしたくなかったから、義理と大差ないように見えるような、小箱に小さなチョコを詰め合わせて、手紙を添えて渡した。

今の女の子たちよりもまだまだ控え目だった当時のわたしには、それがやっとだったのだ。ちゃんと受け取ってもらえて、勿論?手紙の返事はもらえなかったけれど、渡したことで満足だったのだから、それで十分だった。

今は中学生にも当たり前に男女関係みたいのがあり、彼氏彼女がいる中学生も珍しくない。何か恋愛がお手軽になっている気がするので、余計に自分のしたその経験が貴重に思えるのだろうか?自分にとって大切な記憶なので、あまり身近な人には話したくない。安っぽく扱いたくない記憶だというのが本音である。

あの日、夜の7時近くに待ち合わせの場所まで自転車を走らせたわたし。雨降らないといいな~とか、そんな心配をしていたことを思い出す。そして、その彼に会えて、無事に渡せて、それだけでやけに嬉しかったこと。これだけの時間が経っていても鮮明に思い出せるあの時の気持ち。そして、その彼が言ってくれた言葉、『ありがとう』とてもいい言葉、大切な言葉。多分いまから25年が経とうとも、自分がおばあちゃんになろうとも、忘れない、忘れたくない言葉、そして記憶。わたしの大切な思い出。