バレンタインと言えば、思い出すのは、生まれて初めて家族以外の男の子にチョコをあげた日のことです。

あれは小学6年生でした。相手は同級生の男の子で、5年生のときに初めて同じクラスになり、「あれ?ちょっとカッコいいかも…」と、半分一目惚れでした。それから同じ班になったり、クラスで遊んだりするうちに、話も面白いし性格も優しいことが分かって、どんどん好きになりました。でも、5年生のときはまだ子供だったのか、バレンタインなんて意識もなく、来年も同じクラスにならないかなぁ?と祈る程度でした。

6年になり、無事同じクラスになって、毎日ルンルン気分でしたが、当時は男子と女子が仲良くしたり、まして付き合ったりなんてことはなかった時代なので、”今日も喋った~”などと密かに喜ぶのが精一杯。でも、さすがに6年になると、バレンタイデーにチョコをあげる女子も急増し、私も友達と近所のスーパーにチョコを買いに行くことになりました。みんなはハート型のチョコを買っていましたが、私はなんだか恥ずかしくて、義理とも取れそうな普通のアーモンドチョコにしました。

そして、バレンタイン当日。友達は机の中にこっそり入れたりしていましたが、なぜだか私は恥ずかしがり屋のくせにそこだけは直接渡したくて、帰りまで機会を伺っていました。とはいえ、他の男子に見つかったら、私も彼も冷やかされて散々な目に会うことは分かっていたので、絶対に一人のときを!と狙っていましたが、そういう日に限っていつも誰かと一緒で、とうとう下校時間になってしまいました。

もう無理だぁ、と諦めかけていた私を見かねて、友達が帰りの廊下で、うまく彼の友人を引き離してくれて、ようやく彼が一人になりました。私は、”今だ!”と夢中で走って行って、「はい、これ。」とだけ言って、そのまま走り去りました。後ろで「あ、ありがとう。」と小さく聞こえたような気もしましたが、恥ずかしいやら緊張やらで振り返りもせず猛ダッシュしていたので、はっきりとは覚えていません。家に帰ってからも、やり遂げた!という達成感で、その日はずっとニヤニヤしていたように思います。

さて、ホワイトデーですが、当時は男子もシャイだったし、少なくとも私の学校では今ほどお返しの風習が浸透していなかったので、お返しはないのが普通でした。当然彼からのお返しも貰えませんでしたが、それが普通だと思っていたので、まったく気にもしていませんでした。

しかし、数日後に学校から帰ると母親に、「○○君にチョコあげたでしょ?」といきなり聞かれ、「え?」と絶句していると、冷蔵庫から真っ赤なイチゴのパックを持ってきました。なんでも、バレンタインに私からチョコを貰ったと、彼がおうちで嬉しそうに報告していたらしいのですが、実は彼のお母さんと私の母親は昔からの顔見知りだったとのこと!彼のお母さんは、ホワイトデーにお返ししなさいよ、と言ったけれど、男子は誰もそんなことしないから恥ずかしい、と何も持たずに行ってしまったので、気になっていたそうで、たまたま美味しそうなイチゴを見つけたからとわざわざ持ってきて下さったらしいのです。親にバレてすごく恥ずかしかったんですが、彼のお母さんからイチゴを貰えてすごくすごく嬉しかったのを覚えています。

あんなに純粋な気持ちでチョコをあげたのは、あれが最初で最後だったような気もします。初恋っていいですよね。