私はバレンタインにあまりチョコを貰ったことがありません。もちろん義理チョコはたくさん貰って来ましたが、本命チョコといわれる貴重なものはこれまでに片手で足りるほどしかないんです。そんなわけで本命チョコを貰った時の嬉しさは本当に大きなもので、今でも良く覚えています。

その中でも始めて本命チョコを貰った懐かしい想い出を書きたいと思います。それは中学一年生の時の事でした。私にチョコをくれた女の子は小学校時代の同級生でした。その娘とは、小学四年生から六年生まで三年連続で同じクラスでした。とても話し易い明るい娘で、女友達が少なかった私には珍しく気が合う友達の一人でした。

その娘からは、毎年バレンタインにチョコを貰っていました。もちろん貰っていたのは私だけでなく、クラスのほとんど、つまりは義理チョコです。しかし義理チョコすら満足に貰えない私にとっては嬉しい事だったんですよね。そんな彼女とは中学は別々になります。我が小学校は二つの中学校に進学する形になっていました。そして中学校に進み、彼女の事は段々と忘れていき、部活に勉強に頑張っていたんです。

そうして新年を迎えると、小学校の同級生が集る機会がありました。その中に彼女はもちろんいました。以前と変わらずお互いスムーズに話ができ、懐かしさとホッとする安心感を私は感じていました。それからしばらくしてそろそろ帰ろうかという時に、彼女が「二月十四日は空いてる?」と突然聞いてきました。「まだ一月以上先の話だから分からない」と応えると、彼女は頷くだけで帰っていきました。そんなやり取りも三学期が始まり、また忙しくなるといつの間にか忘れていました。

そして二月十四日、義理チョコさえ誰にも貰えずにがっかりしながら家路に向かうと、真っ暗な家の前に人影を見つけました。近づいていくと、それはバレンタインの予定を聞いた彼女でビックリしました。状況が掴めぬまま私が立ち尽くしていると、ぎこちない挨拶と共に彼女は綺麗に包装されたチョコを差し出してきました。「今年もあげようと思って」という彼女の僅かな言葉に、どうやらただ事ではないぞ、という空気を感じた私は礼だけを行って、なぜか家に入ってしまいました。

ドキドキしながら自分の部屋に入り、すぐに中身を見てみると手作りのチョコとメッセージが入っていました。メッセージには「ずっと好きでした」という言葉が何度読んでも書いてあり、もう頭の中はごちゃごちゃです。それから数日して、彼女に対する失礼な行動を詫びたいと彼女の家に私は向かいました。そしてお詫びとチョコの感謝の気持ちを伝え、私も好きであったという気持ちに気付いた事を話して、デートの約束をして帰りました。

その後、何度か遊びに行きましたが、やはり別々の学校という事から、徐々にすれ違いとなっていき自然消滅という形で終わりました。今でも私にとって、とても大切な想い出です。つい先日、小学校の同窓会があったのですが、彼女も出席しており、今では二人のお子さんを持つママとして幸せに暮らしているようです。