「想い出のバレンタイン」というと、わたしが中学校のときに初めて異性からプレゼントをもらったときのことです。

わたしは中学のときはスポーツ系の部活に入っていて、毎日放課後部活をがんばっていました。初めてのバレンタインでプレゼントをくれたのは、同じ運動場の左半分を使っている部活の子でした。

話したこともないし、クラスも違うし、ときどき水場で会う顔見知り程度の人だったので、呼び出されて渡されたときには驚くやらなんやらでまともに「ありがとう」も言えなかったんです。相手の子も顔が真っ赤で、すごく小さい声でなにか喋っていたようだけど、こっちもパニックになっていてなんて返事をしたかもあやふや。ひやかしで物陰から部活仲間が覗いていたみたいで、あとで「ふたりで真っ赤になってぼそぼそ喋ってたけど、何言ってたんだよ~」とからかわれましたが、本当に何を言ったのか、何を言われたのかさっぱり覚えていないんですよね。

結局、その人はそれ以降なにか行動を起こすことも無かったし、自分もよく知らない相手だったのでそのまま卒業してしまいました。初めてバレンタインで告白されたけれど、正直なはなし嬉しかった反面、どうして自分なんだろう?と不思議でもありました。

その後、高校に行ってからもそういう機会はありましたが、あのときほどパニックになることもなく、ちゃんと返事をすることはできるようになりました。が、そのたびに「あのときちゃんと返事して”ありがとう”が言えていたらよかったのに」と悔いが残りました。

それから何年もして、中学のときの同窓会があってその人に再会しました。素敵な人になっていて、ちょうど隣席になったため「あのときちゃんとありがとうって言えなくてごめん」と話すと、「ちゃんと言ってくれてたよ。すごく小さな声だったけど」と笑ってくれました。パニックになりながらもそのときはとにかくありがとうは伝えられていたんだ、とヘンな話ですが肩の荷が降りた気がしました。その同窓会で話せたおかげで、あのときのバレンタインの想い出が良いものに変わりました。